ニュージーランドに観光に来る人だけでなく、世界中の登山家が憧れるアオラキ/マウント・クック国立公園。世界自然遺産として登録されている4つの国立公園「テ・ワヒポウナム」のハイライトと言っても過言ではありません。万年雪と氷河に輝くアオラキ/マウント・クック、氷河が溶けてできた3つの湖、標高の高い場所に生息する生き物や草花など1カ所に見るべきものが満載です。今回はアオラキ/マウント・クック国立公園の見所と楽しみ方を紹介します。今回の《Part 1》ではアオラキ/マウント・クック国立公園の概要と宿泊地、ケア・ポイント・トラックとフッカー・バレー・トラックを紹介します。セアリー・ターンズ・トラックとタスマン・バレー・トラックについては《Part 2》で紹介していますので併せてご覧ください。
アオラキ/マウント・クック国立公園(Aoraki/Mount Cook National Park)
アオラキ/マウント・クック国立公園は世界自然遺産に登録されている4つの国立公園を包括した「テ・ワヒポウナム(マオリ語でヒスイの産地の意味)」のうちのひとつ。700㎢を超えるアオラキ/マウント・クック国立公園の中には2000m3000m級の山々がそびえ立ち、山頂には一年を通して雪と氷河を見ることができます。観光のメインとなる山はやはりニュージーランドで最も高いアオラキ/マウント・クック(3724m)です。公園内には、迫力ある氷河を間近に見ることができるトレッキングコースやキャンプ場があり、またアオラキ/マウント・クック・ビレッジにはホテルやロッジがあります。
アオラキ/マウント・クック国立公園への行き方
アオラキ/マウント・クック国立公園を効率良く回るためには車(レンタカー)がおすすめですが、玄関口となるビレッジまでは主要な街から以下の通りバスも出ています。
- クライストチャーチ⇔ビレッジ
- クイーンズタウン⇔ビレッジ
- レイク・テカポ⇔ビレッジ
※上記はメインのバスルートです。上記以外にも各バス会社が様々なバスルートを運行しています。
アオラキ/マウント・クック国立公園の宿泊施設
ビレッジの中には数は多くはありませんが、ホテル、モーテル、バックパッカーと幅広い種類の宿泊施設があります。最も有名なハーミテージホテル(The Hermitage Hotel)はビレッジを代表する歴史あるホテルです。各種登山ツアーの集合場所もここハーミテージホテルです。ビレッジからは少し外れますが多くの人が利用しているキャンプ場も2つあります。
ハーミテージホテル(The Hermitage Hotel)
- 由緒あるホテル
- バーやレストランが併設
- 各種ツアーの集合場所
ホワイト・ホース・ヒル・キャンプグラウンド(White Horse Hill Campground)
- 各トレッキングコースのスタート地点となるキャンプ場
- 格安キャンプ場(大人1人1泊$13)
- シャワーとトイレあり
- キッチンとなる炊事場あり(ガスコンロ等はない)
グレンタナー・ホリデー・パーク(Glentanner Holiday Park Mount Cook)
- マウント・クックから最も近いホリデー・パーク
- ビレッジから南に24km離れた場所、プカキ湖沿い
- モーテルタイプ、ドミトリータイプ、キャンピングカーサイト、テントサイトがある
- キッチン、BBQ、シャワー、トイレ完備
オススメのトレッキングコース
ケア・ポイント・トラック(Kea Point Track)
比較的イージーなコースで老若男女問わず楽しめるトレッキングコース。ゴール地点の展望台では懸垂氷河や氷河湖、マウント・クックを眺めることができる。所要時間およそ1時間。
アクセス
ケア・ポイント・トラック、フッカー・バレー・トラック、セアリー・ターンズ・トラックの3つのコースは全て「ホワイト・ホース・ヒル・キャンプグラウンド(White Horse Hill Campground)」にスタート地点があります。
キャンプ場の横にトレッキング用の大きな駐車場があるのでそこに車を停めましょう。キャンプ場にはトイレや流し台、ゴミ箱があるので、ここでお昼やトイレを済ませておくほうがいいです。
※駐車場付近でケア(いたずら鳥)の出没情報が相次いでいます。持ち物から目を離さないようにしましょう!ケアたちが持って行ってしまいます!
コースの内容
ケア・ポイント・トラックはビレッジのほうから歩いていく長距離コースもあるようですが、ほとんどの人が片道30分コースのキャンプ場からスタートしていました。私たちもこのコースを歩きました。
キャンプ場の奥から伸びるトレッキングコースがケア・ポイント・トラックです。
最初は平坦な道を歩いていきます。進行方向正面に真っ先に見えてくるのがマウント・セフトン(Mount Sefton)です。マウント・セフトンの懸垂氷河は圧巻です!時々氷河が崩れる音が雷のようにゴォッと聞こえてきます。轟音が聞こえたらすぐに氷河のほうを見てみてください。タイミングが合えば氷河崩れ落ちる様子を見ることができます。
ちなみに懸垂氷河とは、山の急斜面にへばりつくようにつくられた氷河のことです。急斜面にできているので崩れやすいんですね。
15分くらい進むと分かれ道がでてきます。ケア・ポイント・トラックは右です。セアリー・ターンズ・トラックに行く場合は左を行きます。私たちは別日にセアリー・ターンズにも挑戦しました。
ちょこちょこと大きな石があるところもありましたが、お年寄りや小さな子供もどんどん登っていけるような道でした。
それをどんどん進むと…展望台に到着です!これがケア・ポイント・トラックのゴールです。
向かって左手にマウント・セフトンの懸垂氷河が、右手にマウント・クックがお出迎えします。
気軽に行けるコースでこんなにはっきりとマウント・クックを見れるとは…。
実はここから見える頂はマウント・クックの一番高い山頂ではなく、2番目と3番目に高い山頂だそうです!ここではマウント・クックの裏から見ているので、本当の頂上を見るにはタスマン・バレー側から見なければなりません・・・。タスマン・バレーについては《Part 2》で紹介しているので是非ご覧ください。
展望台のすぐ下にはミューラー氷河湖があります。白濁している湖がミューラー湖です。白濁しているのは氷河水が山肌を削るときに砂や砂利を巻き込むからだそうです。対岸が削られたようになっているのは、昔はこの高さまで氷河があったようです。さらに広がっていた氷河湖も見てみたいものですね。
展望台の横にベンチがあったのでそこでお昼を食べました。マウント・クックとマウント・セフトンを見ながら昼食とは本当に贅沢です!
また同じ道を通ってキャンプ場まで戻ります。トイレ休憩をしてすぐに次のコース、フッカー・バレー・トラックへ!
【今回歩いたコース】
ケア・ポイント・トラック(Kea Point Track)
内容:リターントラック (行き帰り同じ道)
スタート地点:White Horse Hill Campground(Googleマップで検索可能)
所要時間:往復1時間(実質1時間)
靴:スニーカーでも大丈夫。
トイレ:スタート地点のキャンプ場にある。
特徴:気軽に絶景が見れる。子供でもお年寄りでも大丈夫。
フッカー・バレー・トラック(Hooker Valley Track)
マウント・クック国立公園で1番人気のトレッキングコース。終始平坦な道が続くが所要時間3時間の長丁場。氷河湖に最接近でき、マウント・クックを見ながら国立公園を散策できる。
アクセス
ホワイト・ホース・ヒル・キャンプグラウンドの東側にスタート地点があります。ケア・ポイント・トラックとは反対側にあります。ここはマウント・クック周辺のトレッキングコースの中で一番人気のあるコースで、多くの人が歩いているのですぐに分かると思います。とりあえず人の流れに付いていきましょう。
コースの内容
このコースは全体的に平坦な道が続きます。平坦な道だからこそ草花や遠くの風景をゆったり見ながら歩けます。
でも20分ほど進むと最初の難関がでてきます…。そう、吊り橋です。極度の高所恐怖症の私(妻)には本当に辛かったです。でも下さえ見なければ大丈夫!そうやって進みます…。けど、私の高所恐怖症を知ってか知らずかグイグイ進む海外の方々。そのせいで吊り橋が揺れる!揺れる!寿命が縮まる想いをしました。
実はこの吊り橋、3本あります。なので往復で合計6回渡らなきゃいけないんです…。
そんな時々怖い思いをしながらも、歩き続けて1時間30分、ついにゴールに到着です!途中、マウント・クックの壮大さに心奪われたり、綺麗な小川や高山植物に出会えたりと、あっという間の1時間半でした!
ここから一望できるのはフッカー氷河湖。フッカー氷河が溶けてできた湖です。大きな氷河の塊が浮いているのを見ることもできます。
そして、その奥にはフッカー氷河の断面も見ることができます!
ゴールから少し下に下ったところでは、フッカー湖のビーチのようになっていてたくさんの人が湖で泳いでいました。
私たちも水に足だけつけたのですが…冷たい‼激冷です‼
だって氷河が溶けた水なんですから当然です!でも、疲れた足を冷やすとすっきりです!
中には氷河湖で泳ぐ強者もいましたが命の危険があるので絶対にしないでください!
帰りは同じ道を戻ります。
ケア・ポイント・トラックとフッカー・バレー・トラックは日本人ガイド付きのツアーもあるようなので、氷河や山々について詳しく知りたい方はそちらに参加するのも良いかもしれません。
【今回歩いたコース】
フッカー・バレー・トラック(Hooker Valley Track)
内容:リターントラック (行き帰り同じ道)
スタート地点:White Horse Hill Campground(Googleマップで検索可能)
所要時間:往復3時間(実質3時間)
靴:スニーカーでも大丈夫。
トイレ:スタート地点のキャンプ場にある。コースの途中にもある。
特徴:マウント・クックを間近で見れる。氷河の断面が見れる。氷河に触れる(かも)。
※残念ながら、フッカー・バレー・トラックは2019年3月27日に発生した豪雨により川が氾濫し、第1の吊り橋以降は進むことができなくなってしまいました。復旧の目処もいまだ立っていないようです(2019年6月現在)。一日も早い復旧を祈っております。詳細はDOC(NZ自然保護局)のサイトをご覧ください。https://www.doc.govt.nz/hooker-valley-track
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