カンタベリー地震
みなさんは2011年2月にニュージーランド カンタベリー地方を襲う大地震が発生したことはご存知でしょうか?2011年2月22日にクライストチャーチ中心部から南に約10kmほどのところを震源としたマグニチュード6.2の大地震が人々を襲いました。死者は185名、そのうちの28名が日本人でした。28名は冬季休みを利用してクライストチャーチの語学学校に通っていた前途有望な若者たちでした。カンタベリー大地震の直後、3月11日に東日本大震災が発生したため、日本での報道はそれほど大きくありませんでしたが、カンタベリー地震の震源は5kmと浅く、街に近いことから甚大な被害を及ぼしました。街のシンボルと呼ばれていた大聖堂は中がむき出しになるほど倒壊し、ビル群は姿を消してしまいました。2019年現在でも大聖堂はそのまま残されており、未だ復興が進まない様子が影響の大きさを物語ります。地震大国日本とも言いますが、ニュージーランドも日本と同じく環太平洋造山帯の一部であり、改めてニュージーランドも地震大国であることを認識させられます。人間が感じられない地震も含めると1万から2万回発生しており、活火山が豊富にあることから、それらの点で日本との共通点をみることができます。
クエイク・シティ(Quake City)
この大地震の恐ろしさを後世に残し、伝えていくためにクエイク・シティ(Quake City)は設立されました。2011年2月22日のクライストチャーチ大地震の悲劇を伝えるだけでなく、地震のメカニズムや歴史を知ることのできるミュージアムとなっています。シティセンターの中にあるため、徒歩・トラム・バスなどでもアクセスしやすい場所にあります。
マオリ人と地震の神
ミュージアムの最初の展示はマオリの人々と地震との関係性についてです。ニュージーランドの先住民族マオリの文化では、空や海の神以外にも、地震の神(Ruamoko)が存在すると信じられています。万物全ての現象は神の仕業であり、それと共存していくことが地球で生きていくことだという考えを持っています。「地震=悪・恐怖」とはなっておらず、大地の創造の一環であるという考えが浸透していることは考えさせられます。
過去の地震
次の展示では、カンタベリー地方の地震の歴史を年表で紹介しています。大地震のおよそ5ヶ月前の2010年9月4日にも大きな地震がありました。このときも規模が非常に大きく、地面にズレが生じたり、地層が剥き出しになる現象が発生しました。しかし、この地震はクライストチャーチのような都市ではなく地方で起こったため、負傷者はいたものの、死者は出ませんでした。2010年および2011年の関連は分かりませんが、2010年の地震によって建物の強度が著しく低下し、その後の地震で倒壊に至ったことは間違いないと言われています。過ぎたこととして捉えず、いつか我が身にも起こると過去から学ぶことは重要であることを改めて感じます。
カンタベリー大地震の実際の映像
そして、2011年2月22日の大地震。当時のニュース映像が上映されており観ることができます。ニュースキャスターの緊迫した表情から影響の甚大さを読み取ることができ、監視カメラに映された人々の怯えからも、いざとなったら人は思考が停止してしまいどうすることもできなくなってしまうのだと認識させられます。日頃からの準備が大事だと身に染みて分かります。
その他の展示
当時の救助の様子を詳しく展示しているコーナーには日本の救援隊の紹介もありました。日本からは消防隊員、医師、看護師など70名と災害救助犬が派遣されたそうです。その後の東日本大震災では逆にニュージーランドが日本に救援隊を派遣してくれました。
被災した建物や教会の一部も展示されていて、当時の状況をモノから感じることができます。
クエイク・シティはおすすめの観光スポット
全て英語の展示ですが、映像もたくさんあるので、じっくり見て回ると1時間半~2時間はかかると思います。さっと見るだけなら30分くらいです。カンタベリー地震は地球の反対側で起こったこととはいえ、地震は日本人である私たちにとっては切っても切り離せない存在です。過去から学び、日頃から準備して、考え直してみることが大切ではないでしょうか。
最後に
残念ながらクライストチャーチを襲ったカンタベリー地震以降、観光客の足取りは重く、観光業が停滞気味にあると言われています。クライストチャーチの街並みは以前と打って変わってしまいましたが、ガーデンシティと呼ばれるクライストチャーチだけあって緑が豊富で、広大な敷地を持つハグレーパークには四季折々の草花が咲き乱れております。また、クライストチャーチ発着の観光ツアーも目白押しです。復興にはまだ時間がかかりそうですが、その手助けの一環としてクライストチャーチを訪れてみてはいかがでしょうか。
クエイク・シティ(Quake City) 情報
- ミュージアムの入場料は大人1人20ドル(大人と一緒であれば15才以下は無料)です。
- 専用駐車場はありません。
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