2019年3月15日、クライストチャーチの中心地にある2つのモスクが銃撃され50人もの命が奪われるという出来事がありました。日本でも報道されたため、ご存知の方も多いかと思います。今回の事件を理由にニュージーランドへの旅行を取り止めた人もいるのではないでしょうか。または行く予定があるけども不安でいっぱいという人もいると思います。今回はニュージーランドに住んでいて感じる治安の変化や現状をお伝えします。
テロの概要
- 2019年3月15日クライストチャーチの中心地にある2つのモスクが襲撃される
- 1つ目のモスクは有名な観光地であるハグレー公園のすぐ横、2つ目のモスクは住宅地の中にありショッピングモールの近く
- 犯人は半自動小銃でモスクの中にいた人々を次々に銃撃
- 死者50名
- 犯人はオーストラリア国籍の白人男性1人、犯行後すぐに逮捕される
- 犯人は白人至上主義の思想を持っていた
テロ直後のニュージーランド
テロの直後に犯人は捕まりましたが単独犯なのか複数犯なのかが不明で、クライストチャーチ市内の住民は外出を控えるように言われ、学校は長時間封鎖されていたようです(封鎖というのは子供たちを帰宅させずに学校に留まらせることです)。当時、私たちはクライストチャーチにはいなかったため混乱に巻き込まれることはありませんでしたが、事件から3日後にクイーンズタウン空港へ行くと銃を抱えた警察が警備に当たっており、厳戒態勢が薄れていないことを知りました。ただ、ワーキングホリデーを始めてすぐに住み始めた街なだけにお世話になった方がたくさん住んでいる街だったので気が置けず、毎日ニュースに釘付けになっていました。
現在のニュージーランド
事件から1週間ほどは厳戒態勢が敷かれ、銃を持った警察が街や空港をうろうろしていましたが、3月24日にニュージーランドで最も大きいオークランド空港に行ったときにはその姿を見ることはありませんでした。また、私たちは事件直後に南島と北島の観光地を旅行して回ったのですが、ピリピリとした雰囲気は一切なかったように感じました。日に日にゆったりとしたニュージーランドの空気に戻りつつあると思います。 つまり、観光や日常生活を送るうえで不安になるようなことはないということです。
ニュージーランドの銃規制
正直、今回のテロが起きるまでニュージーランドで銃が持てるということを知りませんでした。日本と同じくらい銃が関係した事件や話が少ないのです。ただ少し調べると、16歳から銃を所持できること、銃を所持するための免許は必要でも所持する銃自体の登録は不要(=免許さえあればいくらでも所持できる)など驚くような法律がありました。しかし、クライストチャーチの事件の後、「ニュージーランドには銃は必要ない」と多くの人が銃を警察へ返納しに来たそうです。普通なら、自衛のためにさらに銃を求める…と考えてしまいそうですが、ニュージーランドではその反対の運動が起こったのです。また、国民からの銃規制の要求を受けて、すぐに政府も動き出しました。事件から1週間後には、これまで誰でも所有でき、今回の犯人も使用した半自動小銃の所持を禁止にしました(害獣駆除やハンティング目的のものは例外)。今後も益々厳しくなっていくと予想されています。
今後のクライストチャーチとニュージーランド
別の記事でも書きましたが、クライストチャーチ近郊を震源とする大地震が2011年2月に発生して多くの方が亡くなり、多くの名所も倒壊してしまいした。その結果、一大観光都市だったクライストチャーチから観光客は遠のき、いつしかガイドブックの表紙からも姿を消すようになりました。それに追い打ちをかけるように今回このような痛ましい事件が発生してしまいました。クライストチャーチに観光客が徐々に戻りつつあるこの大事なときに。
しかし、ニュージーランド国民は本当にたくましいです。テロ発生から数日後には大人だけでなく子供も参加する集会が各地で次々に開催され、ニュージーランド国民はテロには屈しないと宣言しています。
このとりささブログも、より多くの人にクライストチャーチに関心を持ってもらえるように、少しでもクライストチャーチの力になれるように、魅力をどんどん発信していきたいと思います。
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